わたしは「間(あいだ)」について関心から、明るい部屋から暗い部屋へ滲みでる光、ドアの隙間から漏れる光、ガラスの反射など、相対する関係の間に発生する光のグラデーションをモチーフにし、主にインスタレーションや写真作品を制作しています。
文化、宗教、性別、年齢など多くの違いを抱えているわたしたちは、本質的にお互いを理解することは難しい状況に置かれています。その立場にならなければわかることができず、それは簡単に想像できることではありません。例えば子どもを産むことによる、女性の不自由さや社会の不寛容さは、わたしも自身が出産するまで、ぼんやりとしか捉えていなかったことに気づきました。誰もが同じ立場になることが出来ないとすれば、どのように見えないものに向き合い、知ることができるのか?わたしの問いはそこにあります。
光はおのおのの存在に覆い重なる柔らかな現象です。光のグラデーションは相対するものの間に現れる階調であり、相対する存在が歩み寄るなめらかな階段のようです。わずかな光や現象を能動的に知覚し、双方の間にあるグラデーションを丁寧に観察することがこの世界を捉える手がかりになると考えて作品化しています。