HAUS | Hokkaido Artists Union studies

伴走リポート

札幌のリサーチに向けて・・・

2022.12.20
text 奥村圭二郎(HAUS)

江本純子さんの舞台「セクシードライバー」を観に行ってきました。HAUSでは、江本さんが2020年以降に取り組んでいる映像演劇を北海道で実現するため、会場さがしのお手伝いをしています。そういう意味で今回の公演を観に行っておいて本当に良かったと思いました。

会場となっている北千住BUoYへはJR北千住駅から10分程歩いて向かいます。北千住は駅の東側は東京電機大学のキャンパスが出来て整備されましたが、西側は昭和感の漂う飲み屋さんやクラブ、お洒落な飲食店が入り混じっているユニークな場所です。BUoYにはそんなエリアと閑静な住宅街を越えて行きました。

BUoYの地下に降りると、aka劇団ひとり・江本純子さんのマイクパフォーマンス(?)が開演前から既に始まっていました。キャンプチェアが観客席として使われていて、その雰囲気はリラックスして鑑賞してもらうためのものだと分かりました。映像を鑑賞しつつ、実際の出演者がライブパフォーマンスとしてセリフを映像に合わせて発していて、映像と演劇の両方を掛け合わせたような臨場感のある舞台が設られていて、四角いスクリーンに投影される映像に熱中しつつ、会場中央からセリフを発している俳優たちの方も気を取られる刺激的な体験でした。

スクリーンから飛び出してくるはずの声が、別の角度から聞こえることは不思議な体験でした。長回しで撮影された映像は編集が入らないという意味で迫力感がある一方で、余計な部分を削ぎ落としたくなることがありますが、それがあまり感じられませんでした。こう感じたのは、コロナ禍以降、家で映像を見る機会が多くなり慣れてしまっていたからでしょうか?明らかに、映像に出てくる俳優と、舞台上で演技する俳優から受け取る感覚はこれほど違うものなのかと強い印象を持ちました。

江本純子
1978年千葉県生まれ。00年、21歳の時に劇団「毛皮族」を旗揚げ。09年より「財団、江本純子」を開始。09年『セクシードライバー』、10年『小さな恋のエロジー』は岸田國士戯曲賞最終候補作。08年~13年、セゾン文化財団ジュニアフェロー。16年に初監督作品である映画『過激派オペラ』が公開。16年より開始したプロジェクト「できごと」にて、同年夏に小豆島・大部地区に滞在し、野外演劇を製作・上演。システムや既存の慣例に沿わない独自の演劇作りの方法を提示している。19年よりセゾン文化財団シニアフェロー。